広告代理店の下請けに依存しすぎは危険?制作会社が広告代理店経由で案件獲得するメリット・デメリットとは?

どうも。
仲村です。
弊社は1〜20名規模のクリエイティブ企業様を中心とした営業代行、営業支援を行っておりますので、弊社のお客様の多くは制作、デザイン、開発など、いわゆる「請負型」での業務を行っている企業様になります。
このクリエイティブにおける「請負型」のビジネスを行っている企業様の多くに関係があるのが、「広告代理店」です。
一番有名どころで言えば、電通、博報堂ですが、「広告代理店」という括りで見れば、東京都内だけでも相当数の企業が存在します。
広告代理店とは、文字通り広告を出したい企業と広告を掲載するメディアを繋ぐ仲介のような役割をする会社のことです。
従来はテレビ、ラジオなどの広告枠を企業に売るというのが主な仕事でしたが、現在は広告の制作の企画までも広告代理店が行うようになりました。
そうすると当然制作が出来る企業へ外注をすることになりますので、ここの仕事をもらっているというわけですね。
ちなみに現在では自社内に制作部門を持つ広告代理店も多くありますが、それでも多くの企業は多かれ少なかれ外注を利用しています。
ということで、今日は広告代理店から下請けとして案件を獲得するメリット・デメリットについて考えていきたいと思います。
広告代理店から仕事をもらうメリット
まずはメリットからです。
広告代理店と付き合うメリットは、大きく3つあります。
最大のメリットは何と言っても、「自分で案件を獲得する必要がない」ということでしょう。
なぜなら広告代理店が顧客を獲得してくれるからです。
これは小規模の会社、特に営業がいないクリエイティブ会社にとっては非常に大きいメリットになります。
続いて2つ目は、「継続して案件になりやすい」ということです。
自分たちで1社1社営業して案件を獲得するのはかなり大変ですが、広告代理店であればたくさん顧客を抱えているので、しっかり評価してもらえれば継続して案件を振ってもらえる可能性は大いにあります。
そして3つ目は、「直接顧客とやり取りをしなくていい」ということ。
中には、直接エンドクライアントとやり取りをしなくてはいけない場合もありますが、ほとんどの場合は間に広告代理店が入ってくれます。
そのため、直接面倒なやり取りなどをしなくて済むのです。
広告代理店から仕事をもらうデメリット
逆にデメリットも存在します。
そのほとんどが先程のメリットと相反する内容になりますので、先程のメリットと一緒に考えていきましょう。
メリット:「自分で案件を獲得する必要がない」に対してのデメリット
→こちらは「自分で案件を獲得する必要がない」、つまり広告代理店が仕事を取ってきてくれるわけなので、当然広告代理店が中抜きします。
そのため、当然ですが直接取引をするよりも「単価が安くなる」わけです。
中には、孫請けより下の請負になってしまうこともあり、そうなると自分たちに残る報酬というのは微々たるものになってしまいます。
メリット:「継続して案件になりやすい」に対してのデメリット
→広告代理店は常に多くの案件を抱えており、あなたに「仕事を与える側」としての立ち位置です。
そのため、仕事はもらえますが、タイトなスケジュールでお願いされたり、多少の無理を要求してくる事も珍しくありません。
1つ目のデメリットと合わせると、「安い単価でタイトなスケジュール」の案件などが増える可能性があるのです。
メリット:「直接顧客とやり取りをしなくていい」に対してのデメリット
→顧客と直接やり取りをしないということは、逆説的に言えば、「顧客の意図が伝言ゲームのように伝わってくる」ということになります。
広告代理店の担当者を通す事で、意図がしっかりと伝わらなかったりする事も多く、顧客の要望に応えられないというもどかしさが発生するかもしれません。
また、広告代理店は常に自社以外の制作会社も探しているので、極端に単価が安い会社やフリーランサーなどが出てきた場合、そちらに仕事を取られてしまう可能性もあります。
広告代理店への営業はするべき?
上記のように、広告代理店と付き合うメリット、デメリットどちらも存在します。
特に既に広告代理店と付き合いのある企業様だと、上記のような感想は誰もが多少は持っているはずです。
個人的には、会社によっては正直デメリットも大きいと思いますが、「広告代理店への営業はするべきか?」という質問には、間違いなく「Yes」だと思います。
なぜなら、自社の強みや先方の相性などを加味して、長くうまく付き合う事ができれば広告代理店からの案件はメリット面が大きくなるからです。
実際に広告代理店と上手く付き合っている企業様はたくさん知っています。
また、広告代理店側からすると常に良い外注先は求めているケースが多いので、営業チャンスは多いです。(逆に言えばそれだけ競合がいるというのもありますが・・)
ただし、単発での仕事・価格が安価・タイトなスケジュールなどの条件が重なる案件であれば、今後それ以外に継続してもらえそうな仕事がない限りはあまり積極的に獲得するメリットはない気はします。
そのあたりの見極めも大切ですね。
広告代理店への営業
では、実際広告代理店へ営業する際に注意する点はどういった点でしょうか?
まず注意すべきは、接触する担当者です。
広告代理店にもよりますが、営業が担当している場合もあれば、外注選定の担当がいるケースもあります。
要は、その会社における外注先選定の決裁者とコンタクトを取る必要があるのです。
そして次に気にするポイントは、「自社のウリ」です。
「自分たちと付き合う事で相手にどんなメリットがあるのか?」ということですね。
広告代理店は既に多くのクリエイティブ会社と付き合いがあったり、営業が来たりしています。
その中で選ばれるには、「自分たちではなくてはいけない理由」があった方がいいのは明白です。
なので、その広告代理店が何を求めているのかを把握する事は重要です。
とにかく価格を気にするのであれば、低価格で請けられるプランを用意したり、業界知識を必要とするのであれば、その業界の実績がある点を資料にまとめたり、と相手の求めている内容に応えられれば、案件獲得の可能性はグッと上がります。
逆に言えば、相手の求めている事に応えられる可能性が極めて低い場合は、そういったターゲットには営業をしない、という選択肢が有効です。
例えばですが、全く医療系の知識も実績がない制作会社が、「外注先は医療系の専門知識を持っている事が必須」だと思っている広告代理店に営業をしても、案件に繋がる可能性はほぼないはずです。
そのため、「自社のウリ」を明確にし、ウリに合った営業先を選定していくことが効果的になるのです。
この「自社のウリ」は、先に決めてもいいですし、取引したい相手(業種)に合わせて考えてもいいですが、どちらにしろウリ、つまり強みや他社との違いは考える必要があります。
そういった点をハッキリさせる事で、広告代理店からすれば発注がしやすくりますし、営業面以外でも活用する事が出来るようになります。
広告代理店への依存しすぎは危険!
そうはいっても、広告代理店への過剰な依存は危険です。
私の知っている会社でも、広告代理店の案件に依存しすぎて社内が疲弊してしまっている、という話をよく聞きます。
先方の都合に振り回され、急な締め切りや重なる案件など、自分たちでコントロールできない仕事が増え続けたり、その割に以前より単価が下がってしまっている、というケースも珍しくありませんので、「業務量は変わらないけど売上は下がっている」という事態に陥ってしまうのです。
ということは、今後も「業務量は変わらないけど売上は下がっている」という流れが続くようであれば、その分業務量を増やすか、売上が下がるのをただ見ているか、の二択になってしまいます。
そうではなくて、広告代理店の案件をとりながら、他にも種まきをしているというのが理想です。
つまり、「収益軸の増加」でもあり「リスクの分散」ですね。
案件があるうち、売上があるうちに次の手を打っておく事が重要なのです。
先を見据えて、こういった動きが出来ている企業様は、長期的に見て経営が安定していきます。
まとめ
広告代理店は、クリエイティブ会社にとって繋がりの深い関係です。
今後も広告代理店がなくなるということはまず考えられないでしょう。
それであれば、「いかに上手く付き合えるか」「いかに自分たちに合う広告代理店を見つけられるか」という視点を持った方が良いに決まっています。
そして、同時に広告代理店だけでなく、それ以外の見込みも増やしていければ、経営上も精神衛生上も安定していくのではないでしょうか。
「そうは言ってもやり方が分からない」「忙しくて人手が足りない」というクリエイティブ企業様がほとんどだと思いますので、気になる方はお気軽にご相談くださいませ。
また、制作・デザイン・開発などにおけるパートナーや外注先のご紹介は完全無料で行っておりますので、こちらも気になる方はお気軽にご連絡ください。